英語が聞こえない理由|リスニング上達のカギは「回路」にある

英語が聞こえない理由

リスニングのテストを受けて、あまり聞き取れなかった、という経験をしたことはありませんか?

そのようなとき、多くの人は、

まず、英語に耳を慣れさせようと考え、リスニング教材を用意し、通勤・通学中に聞いたりします。

あるいは、発音を勉強しようと考え、LやRなど、苦手な発音の練習を始めたりします。

単語力が不足しているからだと考え、単語帳に取り組む人もいるでしょう。

ここでは、あなたの努力が、しっかり成果に結びつくように、聞こえない理由と、解決方法について解説したいと思います。

英語が聞こえない。

多くの場合、自分のなかに、英語を理解する「回路」がないことが、理由として考えられます。

「回路」は、言語処理を表す比喩ですが、この比喩を用いると、学習の考え方が分かりやすく整理できる、と考えています。

「回路」がないと聞こえない

電車やバスに乗っていると、「次は〇〇〇」というアナウンスが流れます。

知らない土地では、一瞬、〇〇〇が聞き取りにくいことがありますね。

例えば、

「つぎは、ばくろちょう」
→「ばくしょうちょう? え? 爆笑町?」
(正しくは馬喰町)

「つぎは、つが」
→「つな? え? ツナ?」
(正しくは都賀)

などが、挙げられます。

そこで、漢字を確認したり、由来を知ったりすると、次からは正しく聞き取れるようになる。

このような経験をしたことはありませんか?

そのようなとき、自分のなかで、何かがつながったように感じなかったでしょうか。

音、意味、文字(漢字)。
そして、爆笑町ではない、という知識。
これらがすべてつながって、「ばくろちょう」が「馬喰町」になり、空耳もなくなります。

これを、自分の中に「馬喰町回路」が形成され、音、意味、文字がつながった、と考えてみてください。

翻って、英語を聞く仕組みにも、同じことが言えます。

回路がしっかりとつながっていないと、同じように、一瞬、「ん?」となります。

知らない単語の場合は、音を捉えることも難しいかもしれません。

英語が聞こえるようになるために

「回路」の比喩を用いて、学習方法を検討してみましょう。

リスニング教材

言うまでもないことですが、英語を聞くのは、優れた学習方法です。
ただ、いくつか注意点があります。

まず、ある程度理解できる教材を選びましょう。

英語業界には、「聞き流し」という言葉がありますが、本当に音を流すだけでは、ほとんど効果がありません。

ロシア語や中国語を、いくら聞き流しても、できるようにはなりませんね。

音、意味、文法などの回路を起動させ、理解しながら聞くことをお勧めします。
理解がつながって初めて、リスニングは意味あるものとなります。

また、対象は、物語性があるものがいいでしょう。

文脈から切り離された例文では、どうしても、無味乾燥な感じがしますね。

どちらを使っても、効果はあります。
聞こえたときは、嬉しいですよね。

ただ、物語の場合は、そこで終わらずに、登場人物への共感や、物語に対する深い理解が生まれます。

理解の深さが違うのです。

そして、回路は感情と結びつき、強力になります。

また、回路の強化には、反復が欠かせないもの。

面白かった、感動した、という思いは、繰り返し教材に向かう、よい促進剤になります。
その点からも、物語はお勧めです。

発音練習

耳と口は、回路を通じてつながっていますので、発音練習は、リスニングにも効果があります。
よく言われるように、話せる言葉は聞き取れ、話せない言葉は聞き取れません。

英語の音素は40個以上あり、日本語と同じものはほとんどありません。
やはり音を学ばないと、聞き取れるようにならないのですね。

また、日本語の音素は25個程度。
英語に比べ絶対数が少ないため、日本人が区別しない音が相当数あります。

教科書では、区別が難しい単語として、よく、

ship / sheep
light / right
fan / van

などの例が記載されています。

hot(熱い)/hɔːt/
hat(帽子)/hæt/
hut(小屋)/hʌt/

これもよく挙げられる例です。実際、わたしも、

It was hot in the hut.

と言われたことがあります。

hotとhutが、どちらも「ハット」なので、「どっちがどっち?」と、一瞬考えます。
ただ、話した本人は、完全に別の言葉と認識しているようで、この二つが似ているとは、思ってもいない様子でした。

映画『アズカバンの囚人』でも、ハーマイオニーのセリフに、

Harry, hurry !

がありました。

日本人の耳には、「ハリー、ハリー」ですが、ネイティブは、これが駄じゃれに聞こえるとは、思ってもみません。
完全に別の言葉なのです。

ここで重要なことは、音そのものに加えて、言葉の境界を学ぶ、ということです。

わたしはこれを「おばあさん現象」と呼んでいます。

われわれ日本人には、「おばあさん」と「おばさん」の区別は重要ですね。

肝心な場面では、間違ったら大変と、話す方は、特に気をつけて発音しますし、聞く方も、「あ」があるかないか、耳を澄ませます。

この、「あ」があるかないかが、「おばあさん」と「おばさん」の境界です。

ちなみに、英語ネイティブは、この区別が苦手です。
英語では、「おばあさん」の「あ」のように、音を伸ばして区別することがないので、聞き分けが難しいようです。

このように、わたしたちは、「おばあさん」と聞いたときに、無意識のうちに、「おばあさんである」と同時に、「おばさんではない」ことを理解し、聞き分けています。

「爆笑町」ではない、と分かると、正しく「馬喰町」と聞こえるようになるのと同じですね。

英語を聞いていて、聞き取ることができず、テキストを見てみたら、すべて簡単な単語だった、というような経験はありませんか?

そうかと思うと、逆に、recognition、responsibilityのような、難しめの単語が、くっきり聞こえたり。

これは、簡単な単語は、似た音が他にある場合が多く、recognitionは、recognitionにしか聞こえない、ということも一因です。

発音練習では、まず、区別をし、境界を学ぶことが大事。

上手い・下手は、二の次です。

発音は、一生かけてみがくもの。
ですので、いずれ上手くなる、くらいに構えておけば大丈夫です。
英語話者でも、バラツキが大きいのですから。

単語帳

語彙を増やすのは大事なことです。
知らない単語は、聞こえません。

注意点は、発音練習と同じですが、耳と口を動かして、音をしっかり回路につなぐこと。
日本語の意味だけ、スペルだけ、では、せっかくの努力がリスニングの改善につながりません。

なお、市販の単語帳は、通常、高頻度の数千の単語が記載されています。
それに対し、中級、上級に進むにつれ、必要な単語は、1万、1万5千、2万と増えていきます。

単語帳では追いつかなくなりますので、お手持ちの数冊を終えたら、取り組んでいる教材・メソッドのなかで、語彙を増やしていくようにすればいいでしょう。

終わりに

以上、「英語が聞こえない」原因と、対策についてお話ししました。

英語は、耳だけでなく、「回路」全体で聞いていること、ご理解いただけましたら幸いです。

英語学習のあらゆる課題は、単純化すると、

回路がない
回路がつながっていない
回路が遅い

この三つに集約される、と言えます。

まず、聞こえるようになること。
それが、英語学習の最初の一歩です。

他の課題についても、順次、解説していきたいと思います。