英語は後ろに情報を足していく|長文で迷子にならないコツ

リスニングテストなどで、途中からついていけなくなった、という経験はないでしょうか。

最初は調子よかったのに、だんだん怪しくなり、最後は団子のようになって、結局、問題に答えられない。

後から見直してみると、知らない単語はない。
難しい個所もない。

あれだけ勉強したのに、実力を出せなかった。
悔しい!

このようなことを経験すると、多くの人は、理解が遅いことが原因と考え、主に次のようなことに取り組むようです。

・単語帳を復習し、一瞬で思い出せるようにする。

・「量」が足りないと考え、多読・多聴する。

・倍速再生、速読などのトレーニングをする。

これらは、それぞれ大事なことですが、処理速度を上げるための方法です。

理解を速めるためには、処理速度を上げることの他に、処理そのものを軽くするアプローチも考えられます。

日本語で考えると、処理が重くなるので、できるだけ日本語は持ち込まない、ということについては、記事「英語が途中から聞き取れなくなる理由」で書きました。

ここでは、それ以外に、処理を軽くする方法がないか、考えてみたいと思います。

ついていけなくなる個所はどこか

まず、ついていけなくなる個所を確認してみましょう。

音声サンプルを聞いてみてください。

問題なく聞き取れたでしょうか。

文字にすると、下記内容になります。
(音声サンプルを聞いてからご覧ください)

Good morning, everyone.
Our meeting will begin in five minutes.
I’d like to thank everyone who helped organize today’s event.
If you haven’t picked up a copy of the schedule, you can get one at the front desk.
We’ll begin with the sales report, followed by a short break.
After that, Ms. Carter will introduce our new project.

文字で読むと、難しい個所はないと思いますが、リスニングでは、

I’d like to thank everyone who helped organize today’s event.

ここで、少し時間を要するのではないでしょうか。

前半 I’d like to thank everyone と

後半 who helped organize today’s event との

関係を瞬時に理解できるかどうか。

次の

If you haven’t picked up a copy of the schedule, you can get one at the front desk.

も、少し長いですね。

We’ll begin with the sales report, followed by a short break.

では、分詞構文が現れます。

一文一文は、決して難しい英語ではありませんが、少し手間取ると、どんどん間に合わなくなり、団子状態になることがままあります。

Ms. Carterなどは、普段なら、なんてことない、ただの固有名詞です。
でも、あっぷあっぷの状態では、なにやら知らない単語のように聞こえ、混乱に拍車がかかります。

元をたどると、最初の、

I’d like to thank everyone who helped organize today’s event.

ここで処理が遅れると、あとは、雪だるま式に崩壊していく。

このような、ちょっと長めの文章を処理する方法はないか、考えてみましょう。

英語話者は、情報を後ろに足していく

I’d like to thank everyone who helped organize today’s event.

これに手間取る理由はなんでしょうか。

一つは、I’d like to thank everyone と who helped organize today’s event の関係。
everyoneを説明する内容が、who以下に足されています。

問題は、日本語と語順が違うこと。
慣れていないと、ここで、一瞬、遅れをとってしまいます。

もう一つは、単純に長い、ということ。

そもそも、英語は、SVを立てた後、情報を後ろに足していく構造をしています。
ときには、非常に長くなることもあります。
そういう言語なのです。

たとえば、上記をさらに、

I’d like to thank everyone who helped organize today’s event despite the short preparation time and stayed late last night to finish the final preparations before our guests arrived this morning.

とすることも可能です。

こうなると、ついていけないというか、ついていきたくなくなりますね(笑)。
見るからに、ものすごく「重い」感じがします。

ところが、英語話者には、これは「軽い」のです。

少しずつ詳細が明らかになることに、心地よさを感じながら聞くことができます。

どういうことか、順番に見てみましょう。

I’d like to thank everyone
皆に感謝を述べたいと思います。

この文の核になります。
ここで終わっても、感謝していることは伝わります。
ただ、everyoneが少し抽象的なので、

everyoneとは誰か?

who helped organize today’s event
今日のイベントを手伝ってくれた人。

と補足説明をしています。

その後も、相手が聞きたくなること、つまり

何をしたんだろ?

despite the short preparation time
準備期間が短かったにもかかわらず。

ああ、大変だったんだ。

and stayed late last night to finish the final preparations
最後の準備を終わらせるため昨日は遅くまで残って。

ええ?

before our guests arrived this morning.
ゲストのみなさんが今朝到着されるまでに。

ああ、間に合ったんだ。よかった。
大変だったんだな。感謝。

このように、聞き手は、聞きたいことを順番に話してくれた、という気持ちになります。

ポイントは、どこかで切ったとしても、(不自然にはなりますが)文として成り立つ、ということです。

また、さらに続けることもできます。

このように、英語には、核となるSVを立てたら、後は、補足情報を追加していくという、構造上の特徴があります。

この特徴を風刺して、次のようなジョークが有名です。

イギリス人は、話しながら考える。
ドイツ人は、考えてから話す。
フランス人は、話したあとで考える。

真偽のほどはさておき、言い得て妙ですね。

あたかも、相手が興味がありそうなら続けるし、そうでないならやめる、と、相手の顔を見ながら話しているようです。

英語話者と日本人の違いは、この「SV+追加情報」という構造に対する理解にあります。

英語話者は、長くなっても、核となるSVを保持します。
上記例で言うと、I’d like to thank を忘れず、これは感謝を述べている文だ、ということを見失いません。

日本人は、次々に英語を処理しているうちに、最初の I’d like to thank を忘れます。

英語話者は、続く言葉を「補足説明」と認識し、足されるたび、順番に理解していきます。

日本人は、補足説明であることを意識しないまま、一つひとつを同じように理解しようとします。

その結果、organize、last nightのような、強い言葉に引きずられ、迷子になります。

最初の I’d like to thank を忘れていますので、organize? last night? と細部が気になり、本題から外れていくのです。

では、どうすればいいのでしょうか。

英語話者の真似をすればいいわけですね。

処理が、ずっと軽くなるはずです。

情報が後ろに足される、という構造が分かれば、下記のような文章も、なぜこのようになるのか、理解できると思います。

He patted me on the back.
彼は私を叩いた。どこを? 背中を。

I met a girl whose name was Mary.
私は少女に出会った。誰? 名前はメアリー。

He said he didn’t steal the money, which turned out to be true.
彼は金を盗んでいないと言った。それで? 本当だった。

すべて、後から説明を加えています。
この流れが、聞き手には理解しやすいのです。
それで? それで?と、順番に聞いていけばいい。

これだけで、かなり負担が軽くなると思います。

英語は、英語の語順で理解するのが、一番楽なのです。