英語では出来事を「対象」として捉える|発話のための英語

当記事は、日本語の発想とは異なるために、日本人には浮かびにくい英語を中心に扱っています。

日本語では述語、英語では名詞で表す

英語と日本語では、名詞として捉える範囲が違います。

そのため、名詞を用いた表現方法のなかには、日本人が発話しようとすると、そもそもの発想から浮かびにくいものが、いくつかあります。

次の文は、読んだり、聞いたりする分には、問題なく理解できると思います。
では、自分で運用するとしたら、どうでしょう。

①She looked at me in surprise.
彼女は驚いて私を見た。
直訳:彼女は驚いた状態で私を見た。

②She gave me a smile.
彼女は私に微笑んだ。
直訳:彼女は私に微笑みを与えた。

③His sudden death surprised everyone.
彼が突然亡くなったので、みんな驚いた。
直訳:彼の突然の死がみんなを驚かせた。

このような文では、日本語では、「驚いて」「微笑んだ」「亡くなった」と、述語を中心に表現するのが普通です。

直訳のように、名詞を使って表現することも可能ですが、ご覧の通り、表現として、一般的というよりは、少しひねったものになります。

①She looked at me in surprise.彼女は驚いて私を見た。

surprise を一つの概念とし、「前置詞+名詞」で、状態を表しています。

in surprise同様に、よく使われる例に次があります。

in danger
in trouble
at work

このような馴染みの表現は、比較的スムーズに発話できるのではないでしょうか。

概念化により、より抽象的な表現が可能になります。

He is always moving.
彼はいつも動き回っている。

He is always in motion.
彼はいつも動き回っている。
/彼は常に活動している。

前者は、具体的な動きを表していますが、後者は、「動いている状態」そのものを一つの概念として捉えています。
そのため、「常に活動している」という抽象的な意味にも広がります。

②She gave me a smile.彼女は私に微笑んだ。

smileという出来事を一つの「もの」として捉え、「軽動詞+名詞」で表現しています。

「微笑んだ」という日本語からは、

She smiled at me.

と、動作で表現する方が馴染みやすく、こちらで発話する人が多いのではないでしょうか。

③His sudden death surprised everyone.彼が突然亡くなったので、みんな驚いた。

②と同様に、出来事を一つの「もの」として捉え、

His sudden death

を主語にしています。

これも、動作で表現して、

Everyone was surprised because he died suddenly.

とする人の方が多いでしょう。

His sudden deathを主語にするという発想は、日本人にはなかなか浮かびません。

英語は出来事や状態も「対象」として捉える

英語は、人や物ばかりでなく、出来事や状態なども、一つの「もの」「対象」として捉える傾向があります。

そして、捉えた「対象」を、文の材料として使うことが多い。

たとえば、周知のように、英語は主語を立てる、という原則がありますが、これから話す「対象」をまず捉え、それを主語に置く、という発話になります。

「対象」を捉える

主語に置く

Vで動かす/状態を述べる

後ろから情報を足す


英語は、世界のさまざまな事象を「対象」として捉え、主語にします。

The rain stopped us.
→自然現象

His death shocked everyone.
→出来事

His carelessness caused the accident.
→性質

The rapid increase in prices worries consumers.
物価が急速に上がっているので、消費者は不安を感じている。
→経済現象


また、主語以外でも、捉えた「対象」は使われます。

He gave me a strange look.
彼は妙な目で私を見た。

I had difficulty finding it.
その場所を見つけるのに苦労した。

There is a possibility that he will come.
彼は来るかもしれない。

We have no reason to doubt him.
彼を疑う理由はない。

She showed no sign of fear.
彼女は怖がっている様子はなかった。

I had no intention of hurting you.
君を傷つけるつもりはなかった。

人や物ばかりでなく、出来事や状態なども、一つの「対象」として捉える、英語の性格がよく表れています。


読んで理解する分には、なんの問題もないですね。

ただ、訳文と比較すると、日本語とは、表現の乖離が大きいことが分かります。

「彼は妙な目で私を見た。」から、

He gave me a strange look.

はなかなか出てきません。

多くの人は、

He looked at me strangely.

とするでしょう。

名詞で捉えると表現の幅が広がる

意味が同じであれば、He looked at me strangely.だけ使うようにすれば、それでいいのではないか、と思われた方もいるでしょう。

ただ、He gave me a strange look.を使いこなせるようになれば、たとえば、次のように、表現の幅を広げていくこともできます。

He gave me another strange look.
彼は、もう一度、妙な目で私を見た。

He gave me a strange look that made me feel nervous.
彼は、私を不安にさせる、妙な目で見た。

いずれにしろ、英語を学ぶのに、その根本的な発想を学ぶのは、大事なことです。

慣れてくれば、英語の運用は、英語の発想に基づくのが一番楽、ということを、実感するのではないかと思います。


なお、名詞を用いた表現には、もっと難しいものもあります。たとえば、

There is a general belief that he will be elected President.
彼が大統領に選ばれるだろうと一般に信じられている。

We have arrived at a knowledge of what he means.
われわれは彼の真意が分かるようになった。

The next morning found him traveling by train.
翌朝、彼は列車で旅行していた。

大学入試では、このような英文が出題されることがあります。
ただ、日本人が、英語を発話するために必要かというと、ちょっと違いますね。
聞いて、読んで、理解できれば充分でしょう。

発話のためには、知っているけれども使いこなすのが難しい、

She gave me a smile.
His sudden death surprised everyone.

のような、基本的な表現から練習を始めればいいと思います。