出来事を名詞にして情報を加える|発話のための英語

当記事は、日本語との発想が異なるため、日本人には浮かんで来にくい英語を扱っています。
今回は、英語は、出来事を輪郭のある「もの」として捉える、について解説します。


英語では出来事を「もの」として捉える

「彼女は私に微笑んだ。」と言いたいときに、英語では、下の二つの言い方があります。

A: She smiled at me.
B: She gave me a smile.

どちらも、読む分には、問題ないと思います。


では、話す時はどうでしょうか。

多くの人は、AのShe smiled at me.が出てくると思います。

日本語では、「微笑んだ」と動詞ですから、動詞を選択しやすい。

名詞を使っている、Bの She gave me a smile.は、なかなか浮かばないのではないかと思います。

Aは、動作を表現していますが、

Bは、「微笑む」という出来事を、輪郭のある「もの」として捉えています。

日本語にすると、「彼女は私に微笑んだ。」となり、分からなくなってしまいますが、両者は、物事をどのように捉えるか、「世界の見かた」が違っています。


名詞にすると情報を自由に加えられる

いったん、出来事を、輪郭のある「もの」として捉えると、名詞として、さまざまな情報を加えることができます。

たとえば、形容詞を加え、

a sad smile
a warm smile
a faint smile

と、することができます。

さらに、形容詞を重ねると、

She gave me a sad little smile.

という表現も可能です。


さらに、一つ、もう一つ、最後の一つ、と数えることもできます。

She gave me one last smile.
彼女は最後にもう一度微笑んでくれた。

She gave me another smile.
彼女はもう一度微笑んでくれた。


同じものを指し示すこともできます。

She gave me the same sad smile.
彼女は同じ悲しい笑顔を私に見せた。


関係詞を用いて、情報を加えることも可能です。

She gave me a smile that made me feel better.
彼女は、私をほっとさせるような笑顔を見せた。

名詞を用いることによって、表現できる範囲が広がっていることが分かりますね。


出来事そのものを見る

このような表現を使いこなすには、日本語の「…する」という発想から、転換が必要です。

日本語から出発して、

「彼女は悲しそうに微笑んだ」
→ 「微笑む」は smile
→ 「悲しそうに」は sadly

と、動詞を探しにいくのをやめる。

目の前の出来事を、そのまま描写するようにします。

 「悲しそうな微笑み」 
 → a sad smile
 → She gave me a sad smile.

同じように、

 「妙な目つき」
 → a strange look
 → He gave me a strange look.

 「短い散歩」
 → a short walk
 → We took a short walk.

目に見えないものでも、同じように、出来事を「もの」として捉えることができます。

a decision 一つの決断
an attempt 一回の試み

→ make a decision
→ make an attempt


なお、このような用法は、一般に、コロケーションとして、「動詞+名詞」の組み合わせを覚える、暗記ものと理解する人が多いようです。

たしかに、組み合わせは覚える必要があります。

ただ、give a smile = 微笑む、と覚えるだけでは、多様な表現につながりにくいと思います。

まず、微笑む、という目の前の出来事を「もの=名詞」として捉える。

それから、どんな笑顔?と考え、

→ a sad smile

もう少し描写するなら、

→ a sad little smile

そして、覚えているgiveを載せる。

→ She gave me a sad little smile.

この流れであれば、give a smileを繰り返すばかりでなく、その場で多様な表現を組み立てやすくなると思います。


出来事を名詞でつかみ、軽動詞を載せる

出来事を名詞でつかんだら、最後に、動詞を選ぶ必要があります。

give a smileのgive
take a breakのtake
make a decisionのmake

このような動詞は、

light verb(軽動詞)

と呼ばれ、その名の通り、動詞自身の意味が薄く(軽く)なっています。

She smiled at me.

では、動詞smileが、「微笑む」という出来事を表しています。

それに対し、

She gave me a smile.

では、動詞giveは、文を成立させるためのもの。
中心的な役割は、後ろの名詞が担っています。


組み合わせ自体は、コロケーションとして覚えておく必要があります。

ただ、take a look、have a chat、make a decisionなど、高校までに何度も目にした表現が多く、使われる動詞もgive / have / take / makeなどの基本動詞が中心です。


問題は、発話するときに、この形がなかなか出てこないこと。

日本人なら、

She gave me a smile. ではなく、つい、

She smiled at me. と言ってしまいます。

出来事を名詞でつかむ → 描写する → 軽動詞を載せる

英語らしい表現を身につけるには、その発想を理解するのが、一番近道ではないかと思います。