英語の「焦点の当て方」を知る
倒置とは
倒置とは、英語の「スポットライト」のようなものです。
・強調したい言葉を、最初にドンっと持ってくる
・続く言葉は、文法を整える
大体、こんな風に理解すればオーケーです。
大事なのは、話者の意図や感情を読み取ること。
話者は、通常の言葉では表現しきれない、モヤモヤを抱えています。そのモヤモヤが、倒置という形で出る。
そのモヤモヤを読み取れるようになると、物語が生き生きと感じられるようになります。
なお、形式的に倒置の範疇に入るものは数多くありますが、ここでは、物語を楽しむために必要な知識に絞り、強調のための倒置、文のバランスのための倒置を扱います。
各文型の倒置は下表のようになります(第4文型は稀なので省略しました)。
| 通常 | 倒置後 | 倒置後の例文 | |
| 1 | SVM | MVS | Gone was all hope. |
| 2 | SVC | CVS | Beautiful are the flowers. |
| CSV | Happy he is. | ||
| 3 | SVO | OSV | This I cannot forgive. |
| 5 | SVOC | SVCO | Don’t leave undone what you should do. |
第1文型 VS
All hope was gone.
↓
Gone was all hope.
「Gone!」という感情の爆発が伝わる。
Gone were the days
そのような日々は終わりを告げた〈4-3-29〉
「Gone!」が強調され、劇的な印象を与えています。
第2文型 CVS
The flowers are beautiful.
↓
Beautiful are the flowers.
思わず「beautiful!」と口に出た感じ。
so loud was the noise that erupted from the Gryffindor table
グリフィンドールのテーブルから湧き上がった歓声は、それほど大きかった〈1-17-329〉
第2文型 CSV
He is happy.
↓
Happy he is.
彼が幸せの絶頂にいることが伝わる。
A fine thing it would be
大変結構なことでしょうよ〈1-1-11〉
マクゴナガル教授が皮肉で言っていることが分かります。
第3文型 OSV
I cannot forgive this.
↓
This I cannot forgive.
「これだけは」感が強く出ている。
the get-ups you saw on young people!
若い連中の格好ときたら!〈1-1-3〉
元の文:You saw the get-ups on young people
all the people he’s killed …
あんなにたくさんの人を殺して…〈1-1-13〉
第3文型 MVSO
She loved him so deeply.
↓
So deeply did she love him.
「愛の深さ」に思いが向けられている。
So long has Dobby wanted to meet you
ずっとドビーはあなたにお会いしたかったのです〈2-2-12〉
長い間待ち焦がれていた、という思いが吹き出しています。so longが文頭に来て、そのためにSVは倒置。
第5文型 SVCO
Don’t leave what you should do undone.
↓
Don’t leave undone what you should do.
目的語が長すぎ。言いたいことは「放っておくな」なので、最初に言い切る。
Please find enclosed a list of all necessary books and equipment.
必要な教科書ならびに教材のリストを同封いたします〈1-4-55〉
元の文:Please find a list of all necessary books and equipment enclosed.
目的語「a list of all necessary books and equipment」が長すぎ。
元の文は、何を言っているか、分かりませんね(findとenclosedが離れすぎている)。誰が見ても、このままじゃまずいと思います。そこで、長い目的語を最後にし、文のバランスを整えています。
英語はもともと、最初に、核となる中心部分を言い切り、その後に、情報を追加していく言語です。最初は短く、長いものは後ろ、が納まりがいいのです。
文頭に否定語が来ることによる倒置
He had never felt so alone.
↓
Never had he felt so alone.
「Never」が先に来て、孤独感が前面化。
Not only was Hagrid twice as tall as anyone else
ハグリッドは、他の人の二倍も背が高いばかりでなく…〈1-5-70〉
Not until he climbed into bed was he free to think about it.
ベッドに入って初めて、彼は自由に考えることができた〈1-12-219〉
元の文:It was not until he climbed into bed that he was free to think about it.
元の文は、強調構文。
倒置と強調構文は、どちらも「焦点を移動させる機能」なので、親和性が高い。
この文は、次の進化を辿ったもの。
He was not free to think about it until he climbed into bed.
↓
it is…thatを用いた強調構文にする:
It was not until he climbed into bed that he was free to think about it.
↓
文章が長くなり、重たくなったので、it is…thatを省略し、簡素化。that節ではなくなったため、倒置が発生:
Not until he climbed into bed was he free to think about it.


