「評価」の感覚を読み解く
比較構文とは
さて、受験勉強の難所、比較構文です。
教える人も、教えられる人も、多くの人が匙を投げたところではないでしょうか。本当にこんな言い方するの?と言いたくなるくらい、複雑怪奇です。
せっかくハリポタで英文法を学ぼうとしているわけですから、ここでは、丸暗記で済まさず、きちんと理屈を踏まえた上で、話者の心に迫っていきたいと思います。
比較構文は、比較という名がついていますが、「大きい・小さい」を論じるものではありません。
評価や感情を表現しているものなのです。
例えば、
no more than 10 dollars
たった10ドル
言いたいのは、「たった」ですね。
no less than 10 dollars
10ドルも!
言いたいのは、「も」。
彼・彼女の感情が伝わってきますね。
まずは、高校で習った、no more thanのまとめをご確認ください。これがすべての基本になります。
| no more than ten dollars | 10ドルしか | =10ドル (低い評価) |
| not more than ten dollars | 10ドル以下 | <10ドル |
| no less than ten dollars | 10ドルも | =10ドル (高い評価) |
| not less than ten dollars | 10ドル以上 | >10ドル |
no more than
ただの…に過ぎない、でしかない
the Slytherin team were no more than seven greenish blurs
スリザリンチームは、ぼんやり緑がかった7つの影に過ぎなかった〈2-8-129〉
※no more thanは「低い評価」。上記表参照。
no more…than~、no less…than~
…ないのは~ないのと同じだ、~ないのと同じように…ない
これは悪名高いクジラ構文です(クジラが登場するので受験生の間でこう呼ばれる)。
A whale is no more a fish than a horse is.
馬が魚ではないのと同様に、クジラは魚ではない
・後半のthan以下の節は、「疑いようのない周知の事実」
・no more thanは「イクオールの関係」(上記表参照)
前半=後半ですので、
・前半の「クジラは魚ではない」は、
・後半の「馬が魚ではないという疑いようのない事実」
と同じだと言っているわけです。
they knew no more magic than the giant squid did.
大イカが魔法を知らないのと同様に、彼らは魔法を知らない〈4-26-423〉
I no more suspect Madame Maxim than Hagrid.〈4-29-489〉
これはダンブルドアの発言ですが、ハグリッドが信頼できることを「疑いようのない事実」と捉えています。ジーンとくる場面ですね。
no sooner…than~
~することがないと同様に…することもない
※構造は、ほぼ no more…than~と同様
形は「時」の構文no sooner…than~と同じ
Snape, of course, would no sooner let them play games in class than adopt Harry.
スネイプは、ハリーを養子に迎えることがないのと同じように、もちろん、生徒が授業中にゲームに興じるのを許したりはしなかった〈4-22-331〉
「ハリーを養子に迎えることがない」が、「疑いようのない事実」。
might as well…(as not)
(どちらも大差ないなら、しないより)…する方がよい
feeling he might as well do the thing properly
(言わないより)ちゃんと言った方がいいと感じ〈3-2-26〉
※as notは省略
might as well…as~
~するより…するほうがいい、~するくらいなら…するほうがましだ
We might as well be hanged for a dragon as an egg.
卵よりドラゴンを盗んで絞首刑になる方がいい〈5-2-20〉
We might as well be hanged for a sheep as a lamb.
子羊より羊を盗んで絞首刑になる方がいい=どうせ絞首刑になるなら子羊より羊を盗んだ方がましだ
難しく感じるかもしれませんが、形は、might as wellと同じです。
また、これもクジラ構文と呼ばれます。ただし左右が逆転しています。
You might as well call a horse a fish as call a whale one.
クジラを魚と呼ぶくらいなら、馬を魚と呼ぶ方がいい
⇒クジラを魚と呼ぶことができないのは、馬を魚と呼ぶことができないのと同じことだ
as
比較を表す接続詞「…と同じように、…と対照的に」
He loved her as he had never loved me.
彼は決して私を愛さなかった。それと反対に、彼女のことは深く愛していた(私を愛さなかったのと同じだけ彼女を愛していた)〈4-35-575〉
Dark as her sister was fair
妹は、肌は色白で髪は金髪だった。それと対照的に、(姉は)肌は浅黒く髪は黒かった〈6-2-20〉
as good as
…も同然
Hippogriff’s as good as dead
ヒッポグリフは死んだも同然だ〈3-14-297〉
nothing so much as
何ものも…ほどではない
Malfoy, Crabbe and Goyle resembled nothing so much as three gigantic slugs
マルフォイ、クラブ、そしてゴイルは、まるで巨大な三匹のナメクジそのものだった(何ものもナメクジほどには似ていなかった)〈5-38-795〉
比較を用いて最上級を表す
You couldn’t find two people who are less like us.
これほど私たちと違う二人はいませんよ(より違う二人は探せない ⇒ 最も違う)〈1-1-14〉


